「目指すはグローバルIP学で、この分野を学べるようにすること」 – iU大学 教授 松村太郎

2025年7月18日、「グローバルIPインスティテュート(GIPI)」が新たなサイトをローンチします。
日本のコンテンツ産業に新風を吹き込むこのプロジェクトを共同研究として立ち上げた松村太郎教授に、IP(知的財産)ビジネスの現状と未来、そしてGIPIの壮大なビジョンについて伺いました。
メディアを起点にイノベーションをデザインするiU MID Lab.(Media Innovation Design Lab.)の松村氏の言葉からは、日本のIPが持つ計り知れない可能性と、それを世界に広げようとする情熱が強く感じられます。
GIPIプロジェクトとは?
Q: まず、「グローバルIPインスティテュート(GIPI)」プロジェクトについてお聞かせください。どのような背景で立ち上げられたのでしょうか?
GIPIは、2025年に自動車産業の主要企業の時価総額を上回り、日本の基幹産業となったIPビジネスの可能性を広げるために発足しました。
今後のグローバルビジネス展開では、大企業だけでなく、国内の厚い層のアマチュアクリエイターがプロへと成長し、国内外から資金供給を受けられる仕組みが求められます。
GIPIは、IPを切り口に様々な分野の人々が関われるハブを目指します。
特に、情報が不足しているIP分野において、体系的な学習の場を提供するため、最初の取り組みとしてメディアを重視し、ウェブサイトを立ち上げるところからスタートします。
日本のIPビジネスの現状と未来
Q: 日本のIPビジネスの現状と、今後目指すべき方向性について、さらに詳しくお聞かせください。
A: 日本のIPはアニメやゲームが有名ですが、海外ではそれだけでなく、日本の日常生活に根ざしたアイデア、デザイン、古くからの習慣といった多様なIPにも関心が集まっています。
現状、これらの潜在的なIPのビジネス化は個人的な活動に留まりがちです。GIPIでは、これを体系的にまとめ、新たなビジネスチャンスを創出することを目指します。
IPとの関わり
Q: 松村教授ご自身のこれまでのご経験と、IPとの関わりについてお聞かせいただけますか?
私にとってIPは常に身近でした。大学での授業作成も知的財産ですし、ジャーナリストとして記事執筆、書籍出版、特許取得も経験しました。
これら全てのアウトプットは私自身の財産であり、業界や国、企業の財産にもなり得ます。
無形でありながら無限に生み出され、蓄積によって財産となる知的財産の本質に、ジャーナリズムを含むコンテンツ産業の一部として深く関わってきました。
IPが社会に与える予想外の影響
Q: IPが社会やテクノロジーに与える影響について、具体的なエピソードを交えて教えていただけますか?
海外在住時、日本のIPについて語れない悔しい経験がありました。
アメリカでは日本のアニメやゲーム好きが多く、日本のことをもっと教養として語れれば、外国人との交流で日本人が知るIPやコンテンツ、文化を伝える絶好の機会になったはずだと。
独学は非効率で、もっと体系的に学ぶ方法はないかと考えていました。
また、アメリカのトヨタでロボティクス研究をしていた知人が「日本人は羨ましい」と言いました。
理由は、日本にはドラえもんや鉄腕アトムといった「優しい」ロボットのIPがあるから。アメリカではロボットが暴走する「パニックの対象」として描かれがちで、ロボティクス分野への印象がネガティブなのだと。
この経験から、IPはビジネスだけでなく、「テクノロジーの最初の印象」や「未来の空想」を構築する役割を担い、社会に大きな影響を与えることに気づきました。
クリエイターの情熱が込められた作品が、IPビジネスの枠を超え、社会の様々な側面に活用される可能性に強く魅力を感じています。GIPIの活動は、まさにこうした私の個人的な興味を満たすプロジェクトです。
「グローバルIP学」の創設という野望
Q: 松村教授はGIPIの活動を通じて、どのような野望を抱いていらっしゃるのでしょうか?
私の最大の野望は、「グローバルIP学」という学問を立ち上げることです。GIPIは、IPをビジネス、テクノロジー、国際関係など多角的に体系的に学ぶためのものです。
現在IPの世界では、AIとクリエイティブ、著作権切れや個人情報、独占企業に関する法整備など多岐にわたる課題が議論されています。
また、表現に関する法規制、例えば児童ポルノに関する国際条約が日本に与える影響や、それへの戦略的な向き合い方といった国際関係論も含まれます。
IPを深く学ぶには、生活の奥深い世界まで理解する必要があり、大学4年間でも足りないほどのボリュームです。
しかし、現状では「グローバルIPを学ぶための地図」となる全体像すら存在しません。
GIPIでは、まずこの「地図」作りから始め、大学内でグローバルIPの講義を増やすことを目指しています。これが私の所属する大学における大きな野望です。
GIPIが目指すハブとしての役割と貢献
Q: GIPIが今後ハブとして成長していくことで、具体的にどのような価値が生まれると期待されていますか?
GIPIがハブとなることで、主に3つの価値を創出したいと考えています。
- IPイノベーションの創出
- IPと新技術や新産業を結びつけ、その可能性を広げることで、これまでにないIPの活用法やビジネスモデルが生まれる場とします。
- クリエイターへの資金還流と国際競争力の向上
- 国内外からのファンディングを含め、クリエイターが「日本でクリエイションすることが世界的に稼げる」という認識を得られる土壌を構築します。私自身、コンテンツに常に感動し、癒されてきた人間として、この業界が持続可能な形で発展していくことを強く願っています。
- グローバルIPを支える人材の育成
- 「グローバルIP学」のような学問体系を通じて、グローバルIPを支える人材を育成することを目指します。
今後の展望と読者へのメッセージ
Q: 最後に、今後のGIPIの活動に対する意気込みと、読者へのメッセージをお願いします。
GIPIでは今後、日本のクリエイターへのインタビュー、クリエイションを支える企業・人材・テクノロジーの情報の集積、地方IPの発掘など、多様な活動を展開します。
私たちは、とにかく「これもIPなんだ!」「こんなIPもあるんだ!」といった新鮮な発見を数多く生み出していきたいと考えています。
GIPIの活動を通じて、皆さんが「グローバルIP学」の世界に巻き込まれるような場所にしたいですね。
ぜひ、毎週・毎日GIPIの情報をチェックし、時にはコンテンツ作成にご協力いただき、グローバルIPの「今」を切り取り続け、体系的にまとめていく活動に参画いただければ幸いです。
日本のIPが世界でさらに輝く未来を、GIPIと共に創造していきましょう。
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